ウェイトレス

ちょっと昔話、その5です。(順不同)

店間際のお店のベンチにネタバラし君が寝そべっている。片手ににはいつものミステリー。軽くあいさつをしてお店の扉を見ると『準備中』のカンバン、
「空いてるよ」
「???」
扉を引くと鍵は開いていた。おそるおそる中に入ると他力本願君がカウンターの中で、くわえ煙草でコーヒーをいれている。
「いらっしゃい」
「???」
「あゆむちゃんは買い物に行ってるから、オレは留守番」
昼でも薄暗い店内とは違って、明るいカウンターの向こうの他力本願君は凛々しく見えた。きっと素面だからに違いない(^_^;)
「内側と外側では、また違って見えるんだよね。舞台裏まで見えるって言うか、見えない物が見えるって言うか…、」
ひとり喋りながら二本目の煙草を求めて、ポケットを探り出した。この人の撮った写真を見たことがあるけど、何処か変な写真だった。その時も実と嘘とか裏表とか変な事を言っていたなぁ。他力本願君はコーヒーをセットすると目の前に置いた。
「まだオーダーしてないけど、サービス?」
「配達!」
と言うと二本目の煙草で外のネタバラし君を指差し、煙草に火をつけた。
これって…、ウェイトレス?
つづく