ちょっと昔話、その2

ちょっと昔話の続きです。
悪の、偶然の再会はすぐだった。昼の食事に入った喫茶店でネタバラしの彼はお店のマスターとカウンターで、推理小説のトリックについて店内の全ての人に聞こえる大きな声で語っている。今人気の作家の新作ミステリーのトリックのネタバラし、こいついつか自分が「推理小説のネタバレを聞きたく無いのに聞かされて、つい刺してしまいました」なんてワイドショーのネタになる日が近いぞ!とほくそ笑んでいると、目があってしまった。咄嗟に違う方向を向いて誤魔化すが、それが余計に怪しく見えたとネタバラし君が後から話してくれた(;^_^A
テーブルの向かいに勝手に座り、今度は一人の為に小さな声で話し始めた。話の内容はこの前のお詫びが少しと殆んどは自分の事。ひととおり勝手に喋るとネタバラし君は、普通は予約しないと入れないレストランの優待・割引券を出して、今度ここでライブがあるからと時刻を告げると去って行った。しわくちゃなチケットを見て、優待・割引券なんてあるんだと初めて知った。そしていつの間にカバンから手帳を取出し、仕事のスケジュールを確認すると「仕事だょ…」と呟く、「残業が早く終わるといいな」とか「リクルートスーツのままでいいのか?」と考えていた。
そして約束の日、って言うか約束した覚えも無いけど(笑)普段は入れないレストランの優待・割引券に釣られただけ。残業後に同じ会社の同期の、別の課の女子と合流すると彼女は残業が無くて一度家に帰り着替えくる気合いの入れようで、ドレスコードは可愛く・露出多めだそうだ。こっちはリクルートスーツだし、変な二人組だ。それよりドレスコードってそんな言葉なの?
中に入ると薄暗い店内の小さなステージで、ネタバラし君は控え目なスポットライトを浴びてピアノを弾いている。ピアノの演奏も控え目、これってライブじゃないよね?みんなは食事とそれぞれの会話に夢中だし、生のBGMとかってレベル?そんな疑問も次々運ばれ、空になってお皿に乗って厨房の荒い場に運ばれて行った。
雨宿りに入ったBARの従業員に聞いた話では、ネタバラし君は夜はレストランで静かにピアノを弾いたり、時にはバンドを連れて賑わったり、女子に歌を教えたりして生活している業界ではちょっとは名の知れたバンドマンらしい。普通の人はあまり知られて無いし、『女好き』の肩書きもついて、レッスンを受けている女子と幾度かのトラブルもあった事も、聞いて無いのに教えてくれた(;^_^A 従業員さんに感謝!先に聞いてて良かった…。

今日はここまで、続きは今度…。読み返して無いので後日、修正が入ります。取り敢えずお腹が減った(笑)