生肉は駄目だよ、気をつけなくちゃ!!

ちょっと気持ち悪い、ちょっと昔話シリーズ(なんちゃって)
住んでいた都市のある町は多国籍な人々(主にアジア系)が多く集まっていて、焼肉屋さんが集中していることで有名だった。電車の乗り換えで立ち寄ったあるJR鶴橋駅(^_^;)のホームにまでいつも焼肉とキムチの匂いが漂っている。「すきっ腹に堪える匂いだ・・・、」とか考えて電車を待っていたら、ホームの端から見るからに汚いおっちゃんが千鳥足でこちらに向かって歩いてくる。ホームレスにも見えるがここは駅のホーム、改札を抜けてまでこんな所に居るはずが無い・・・。
何かを手にぶら下げて、だんだんこちらに近づくいてくる。「こっちに向かってくるなんて考え過ぎだろう」そのまま通り過ぎていくだろうと思ったら、おっちゃんは声をかけてきた。振り向いて改めて汚い身なりと匂いに気付くと同時に、手に持った物も理解した。それは透明なビニール袋に詰められた、ビニール袋に入れられただけの生肉!!いろんな物が混じって見えた。おっちゃんは生肉の入ったビニール袋に手を突っ込み、くちゃくちゃと音をたてながら生肉を食べている。そしてビニール袋を目の高さまで持ち上げてこう言った。「食べるか?」
もちろん断った。そうするとおっちゃんは生肉の肉汁で汚れた手をしゃぶりながら「おいしいのに、????の肉はもっと美味しいっていうけどな〜」生肉を咀嚼する音、指をしゃぶる音ですべての言葉は聞き取れなかった。聞き返す事もせず、相手にもせずにいると電車がホームに滑り込んで来た。おっちゃんが乗るなら、一本見送り次の電車・・・。ドアが閉まるぎりぎりまで待って目の前の電車に飛び乗った!!おっちゃんは電車には乗らずに、まだホームの端を歩いている。車内にはだんだんと加速するモーター音が響き渡っていたが、耳にはまだ咀嚼する音が残っていた。
なんなんだよ、ちょっと危ない人か?なんの肉が美味しいって?それより今食べてた肉って何の肉??おっちゃんがミンチになるなよ。


『椰月美智子/しずかな日々』完読です。次は何を読もうかな?