食べたゾウ

今週の仕事も終わった。と言うことは・・・、行ってきたぞミスタド!!本日のお買い求めは、ポン・デ・黒糖、エンゼルフレンチと“焼きド”からはカラメルアップルにダブルベリーの計四個。意外(?)に美味しいし、写真で見るより現物は小さく(^_^;)てかわいく、いくつでもお腹に入りそうに思えるが、後からもたれる。(小さくてもカローリーはしっかりある)目指せ全種類制覇!!
ドーナツを食べていたら思い出した話がある・・・。むかし団地でゾウを飼っていた。よく動物園にいる大きな象じゃなくて、もっと小さな手のひらに載る小さなゾウ。おまけにこいつは人間の言葉を喋って、小さな体に付いた大きな耳を羽ばたかせて地上すれすれに空を飛ぶ、と言うよりは浮かんでいる。ゾウ本人に言わせると「修行中の身」らしい。

事の始めは僕が小学校六年生の夏休み、三つ下の妹“あおい”が入院していた病院に現れ、退院してもそのまま家に連れて帰ってしまったことから始まる。長い入院生活に退屈していたあおいは、いつか読んだことのある『きいろいゾウ』の絵本に出てきた女の子に自分を重ねていた。いつも寝る前に「きいろいゾウが(夢に)現れますように」とお願いしていたら、朝起きると枕元にいびきをかいて寝ていたらしい。あおいの言うことには「夢かと思ってシーツをかぶり寝ようとしたら『おはよう』と喋ったので驚いてベットから落ちた」と話していた。
もちろん団地でゾウを飼っている事は二人だけの秘密だ。あおいは「鳴かないから大丈夫だよ」とは言っていたが、毎朝目覚まし時計がなる前に小さな鼻を大きく震わせて「ぱぉ〜ん」と僕を起こしに来る。どうやら鳴き声も姿が見えるのも二人だけのようでママに「早く起きれるようになったのね」と褒められるようになった。
このゾウはあおいの前では“借りてきた猫”の様におとなしく(象のクセに)のに、夜になると僕の部屋にやってきては、「お腹すいた」とか「バナナが食べたい」とかわがままを言ったり、「テレビのチャンネルを変えろ」と僕に命令してくる。なぜこんな小さなゾウに命令されなければいけないのだ?と思って聞いたことがある。
「ゾウ君、キミはいったいいくつなの?」
「キミたち人間とは年の数え方が違うからね、ゾウの世界では16歳だけど、生まれたのは10年前さ」
「・・・・、(微妙、そんなの知らないし)」
とまあこんな調子で先輩面して、あれこれ命令してくる。そして自分のパパやご先祖の自慢話ばかりしてくる。
ある日、ドーナツを食べていたら「自分のパパは昔サーカス団にいて人気者だったんだ」と言ってドーナツを縦に持たせて輪くぐりの練習に付き合わされたりすることもあった。(これで、いかに小さいかわかるだろ)ドーナツや甘いものは重くなって飛べなくなるからと言って、いつもは食パンと大きくなるようにって牛乳を飲んでいる。パパの自慢が始まると次はご先祖の自慢が始まるんだ・・・。
「中国の偉いお坊さんと、猿・カッパ・豚の子分を連れてインドまで旅をしたことがある」とか「モンゴルの大草原を駆け抜けてヨーロッパ征服の手助けをした」とか、当時小学生の僕でもわかるようなホラ話を何度も聞かされた。
だけど感謝もしているんだ、あおいが落ち込んでいるときも「病気が良くなったら、空をとんでピラミッドに行こう」って励ましてくれたり、退屈な時には話し相手になってくれたり・・・、あのダンボや三蔵法師チンギス・カンの話をやっぱりしたのかな?
それと、キミが大きくなって、背中に乗って空を飛べるようになるにはあと何年かかるのか聞いたことがある。「えっ!○○年?」あおいには秘密にしろよ、ががっかりするからね。
え!?今はどうしてるかって?あおいにはだいぶ前に見えなくなり一緒に空を飛べなくて泣いていたが、もう忘れているみたいだね。今では当時の自分と同じ年の子供がいて、家庭と仕事に追われている毎日だよ。ゾウかい?ほらテレビの横にいるよ。少しは大きくなったかな?今はキャットフードとコーラがお気に入りでナイターを見てるよ。

なんて全部ウソ、空飛ぶゾウなんているわけないじゃん(笑)