指先から愛を…

文庫本が三冊に漫画が一冊、行き着けた書店のレジで必要最低限の短い会話を交わす「カバーをお掛けしますか?」「要らないです」財布から小銭をだす間、女性店員は緑色のビニールの小さな手提げ袋に買った本とは別に小さな紙片を忍ばせる。細くて長い指はまるで別の意志を持つように動いていた。
お釣りを持つ右手、添えられた左手が軽く触れ合う。手のひらには小銭の冷たく固い感触、下を向いた手の甲にはクーラーで冷えているが温かくて柔らかい手。時間にすると瞬きぐらいの一瞬だが、彼女の体温が伝わるには十分だった…。
駐車場の車に戻りビニール袋の中を見ると、なんと…そこには“栞”が5枚も入っていた。なんだこれは、新手のサービスなのか!?買った文庫本は三冊なのに、漫画に栞は要らないだろ(;^_^A ちょっと前に「栞が無い」と書いてコレだ、ついでだから話を少し広げて書いてみた(笑)5枚入っていたのは事実です。